マッチングアプリの「メッセージ」に疲れ果てた私
「今週の土曜日、空いてる? 美味しいイタリアン予約したから行こうよ!」 スマホの画面に表示された、見ず知らずの男性からのメッセージ。プロフィール写真は、明らかに数年前のものと思われる画質の粗い自撮り。年収は1000万円以上と書かれているけれど、自己紹介文の日本語がどこか怪しい。
私は、都内の有名私立大学に通う22歳の女子大生、ミサト。就職活動もひと段落し、いわゆる「最後の夏休み」を満喫している最中だった。周りの友人は次々と彼氏を作り、旅行やデートの写真をSNSにアップしている。焦った私も、某有名マッチングアプリに登録してみたものの、待っていたのは「不毛なメッセージの往復」という底なし沼だった。
「こんにちは!登録したばかりです、よろしくお願いします!」 「ミサトさん、はじめまして。趣味がカフェ巡りって書いてありますけど、最近はどこに行きました?」 「最近は表参道の〇〇に行きました!」 「そうなんですね!僕は新宿の〜〜」
……このやり取り、今週だけで5回目。しかも、いざ日程を合わせようとすると「その日は仕事が入っちゃって」とドタキャンされたり、当日行ってみたら写真とは似ても似つかない、清潔感の欠片もない男性が現れて1時間でお腹痛いフリをして帰ったり。 「マッチングアプリって、出会うまでにエネルギーを使い果たして、実際に会ったらガッカリする確率が高すぎる。もう疲れたな……」
そんな時、大学のサークルの先輩(すでに社会人で、いつもハイブランドのバッグを持っている垢抜けたお姉さん)から、あるアプリの存在を教えてもらった。
「ミサト、まだメッセージとかで消耗してるの? 今は『バチェラーデート』一択だよ。いいねもメッセージもいらないの。登録して、空いてる日を入力しておけば、勝手にAIがハイスペックな男の人を選んで、カフェの予約までしてくれるんだから。しかも女の子は完全無料」
「え、怪しくないですか? なんでメッセージなしで会えるんですか? サクラとか、変な人が来たら怖いんですけど……」
「それがさ、完全審査制なんだよね。男の人は年収とか職業の審査があって、女の人も写真審査がある。しかも、最初の1回目は『2次審査』になってて、相手の男性から『この子は合格』って評価されないと、ちゃんと会員になれない仕組みなの」
完全審査制。メッセージ不要。AIが自動でマッチング。そして女性は無料。 怪しさと、それ以上の好奇心が私の胸を突き動かした。これが、私が「バチェラーデート」という、未知のAI婚活・恋活の世界に足を踏み入れた瞬間だった。
第1章:バチェラーデートの「残酷な審査」と、女性側の登録手順
家に帰った私は、さっそく「バチェラーデート」のアプリをダウンロードした。画面は黒とゴールドを基調とした、いかにも高級感漂うデザイン。「バチェラー」という名に恥じない、選ばれた人間だけのコミュニティ、といった雰囲気がムンムン伝わってくる。
まずはプロフィールの入力だ。 名前(ニックネーム)、年齢、居住地、職業(大学生)といった基本情報を入力していく。ここまでは普通のアプリと同じ。しかし、ここからがバチェラーデートの真骨頂だった。
① 容姿・スペックの入力と「顔写真」の提出
まず、自分の容姿のタイプを細かく選択させられる。「可愛い系」「綺麗系」「癒やし系」「ハーフ系」など。そして、髪型、服装の系統(コンサバ、カジュアル、フェミニンなど)、体型(スリム、やや細め、グラマラスなど)を自己申告する。
そして、最も重要なのが「写真のアップロード」だ。 説明書きには「顔がはっきりとわかるもの」「加工アプリでの過度な修正は審査落ちの対象になります」とハッキリ書かれている。私は、サークルの友達に他撮りしてもらった、自然光が入った一番盛れている(けれど加工はしていない)写真を選んで提出した。
② 相手に対する「容姿・スペック」のこだわり設定
次に、自分がどんな男性と出会いたいかをAIに学習させるための条件入力をする。 これが驚くほど細かい。
- 年齢: 「24歳〜34歳」と、少し年上の社会人を希望。
- 年収: 「600万円以上」「800万円以上」「1000万円以上」「1500万円以上」……。私は欲張らずに「800万円以上」を選択。
- 学歴: 「大学卒以上」「有名大卒」「旧帝大・早慶以上」。せっかくなので「有名大卒以上」にチェック。
- 外見の好み: 「塩顔」「正統派イケメン」「ワイルド系」などから選択。さらに、重視する項目(顔、体型、清潔感など)に優先順位をつける。
すべての入力を終えると、「審査中」の画面に切り替わった。 「これで落ちたら、私の顔はバチェラー基準に達してないってことか……」と、急に心臓がバクバクしてきた。
運命の「1次審査通過」通知
翌日の夕方、スマホにポコンと通知が届いた。 『おめでとうございます!1次審査を通過しました。』
画面を見ると、私の仮会員ステータスが有効になっていた。ひとまず、最低限のルックスとスペックのハードルはクリアしたらしい。しかし、先輩の言葉を思い出す。 「本当の勝負は2次審査だよ。実際に最初のデートに行って、相手の男性から『合格』のスタンプをもらわないと、正規会員になれずに強制退会だからね」
バチェラーデートは、システム(写真)による1次審査だけでなく、人間の目による「2次審査(実際のデートでの振る舞い・容姿チェック)」があるのだ。私は一気に緊張の波に飲まれた。
第2章:AIが勝手に決めた「土曜16:00、銀座のカフェ」
1次審査を通過した私は、さっそくデートの日程を登録することにした。 バチェラーデートのシステムは非常にシンプル。カレンダーから、自分が空いている日時(例えば「今週の土曜日・昼の部」など)を選択して、確定ボタンを押すだけだ。
私が選んだのは、今週末の土曜日、16:00からの時間帯。 普通のアプリなら、ここから「マッチングした相手とメッセージをして、場所をどこにするか話し合って、お店を予約して……」というプロセスが発生するが、バチェラーデートはここでスマホを閉じて終了。あとは木曜日か金曜日にAIから届く通知を待つだけ。
「本当にこれだけで、土曜日に誰かと会えるの?」 半信半疑のまま、金曜日の夕方を迎えた。17時ジャスト、スマホが震えた。
『マッチングが完了しました。明日16:00からのデートが確定しました。』
アプリを開くと、以下の情報だけが開示されていた。
- お相手のプロフィール: 31歳、IT企業経営、年収1500万〜2000万、早稲田大学卒、趣味はゴルフ・サウナ・旅行。
- デート場所(お店): 銀座駅徒歩3分「〇〇カフェ(仮名)」
- 待ち合わせ方法: 「お店に直接向かい、バチェラーデートで予約している旨を店員に伝えてください」
「えっ……すご。本当に全部決まってる……」 相手の顔写真は一切見られない。わかるのは、31歳でIT企業の経営者、年収1500万円以上という圧倒的なスペックだけ。 しかも、お店の予約まで運営側(AI)が自動で行ってくれている。女性側としては、ただ指定された時間に、指定されたお店に行くだけでいいのだ。
この段階で、ようやく「当日限定のチャット機能」が解放された。ただし、このチャットは「よろしくおねがいします」という挨拶や、当日の「今着きました!」「白いワンピースを着ています」といった、合流のための連絡以外には使ってはいけないルールになっている(というか、お互いの顔もわからないので会話のしようがない)。
「31歳の経営者……。どんな人が来るんだろう。おじさんだったらどうしよう。でも年収1500万って、私の周りの大学生には絶対にいないレベルだよね」 期待と不安、そして2次審査に合格しなければならないというプレッシャーが入り混じり、私は金曜日の夜、入念にパックをしてベッドに入った。
第3章:2次審査当日。銀座のカフェで待っていた「港区経営者」の正体
土曜日の午後。私は銀座の街を歩いていた。 服装は、バチェラーデートの雰囲気に合わせて、清楚かつ少し大人っぽいネイビーのノースリーブワンピース。髪は綺麗に巻き、メイクも「濃すぎず、でも華やかに」を意識した。何と言っても、今日の相手は私の会員資格の合否を握る審査官でもあるのだ。
15時50分。指定されたカフェに到着した。 銀座の路地裏にある、落ち着いた雰囲気の高級ホテルのラウンジのようなカフェ。客層も心なしか上品に見える。
入り口で緊張しながら、店員さんに声をかける。 「あの、バチェラーデートで予約しているミサトと申します……」 「あ、ミサト様ですね。お連れ様は既に奥のお席でお待ちです。ご案内いたします」
(えっ、もう来てる!?) 店員さんの後ろをついていきながら、心臓の音が耳まで届きそうなくらい速くなる。 案内されたのは、半個室のようになっている奥のソファー席。そこに、1人の男性が座っていた。
ネイビーのジャケパンスタイルに、手首には一目で高級とわかる腕時計(後で調べたらロレックスだった)。髪型は短髪で清潔感があり、肌も綺麗。 「写真が見られない」というシステムの都合上、最悪のパターン(清潔感のないおじさん)も覚悟していた私は、その男性の姿を見た瞬間、心の中で小さくガッツポーズをした。
「はじめまして、ミサトさんですか? 拓也(タクヤ)と言います。よろしくお願いします」 彼が立ち上がり、爽やかな笑顔で会釈をしてくれた。声が低くて、落ち着いている。
「はじめまして!ミサトです。お待たせしてしまってすみません!」 「いやいや、僕が早く着きすぎちゃっただけだから気にしないで。座って何飲む?」
こうして、私のバチェラーデート2次審査が幕を開けた。
第4章:1時間のトークタイム。ハイスペ男が語る「バチェラーデートを使う理由」
バチェラーデートのルールでは、初回のデート時間は「約1時間」と推奨されている。長すぎず短すぎず、お互いのことを知るにはちょうどいい時間だ。
席に着き、アイスコーヒーを注文した後、私たちは話し始めた。 最初はお互いの仕事や大学の話。私が「まだ大学生で、就活が終わったばかりなんです」と言うと、タクヤさんは「お、お疲れ様!大変だったでしょ。どこの業界に行くの?」と、自然に話を広げてくれた。
会話の中で、私はどうしても気になっていた質問をぶつけてみることにした。 「あの、タクヤさんみたいな、若くて会社の経営もされていて、外見も素敵な方が、なんでバチェラーデートを使ってるんですか……? 普通に生活してたら、めちゃくちゃモテると思うんですけど」
タクヤさんは苦笑いしながら、アイスコーヒーを一口飲んで言った。
「それ、よく聞かれるんだけどさ(笑)。本当に時間が無いのよ。普通のアプリもやったことあるよ? でもさ、いいねを何百人も送って、マッチングした後に『はじめましてー』から始まるメッセージを同時に10人とかとやり取りして、お店を調べて予約して……ってやってる時間が、僕の生活には無いんだよね」
「あぁ……やっぱり、忙しいからなんですね」
「そう。バチェラーデートって、僕らみたいな忙しい人間からすると神アプリなんだよね。水曜日の夜とか、土日の空いてる時間をピッと登録しておけば、金曜日に勝手に銀座とか恵比寿のいいカフェが予約されて、それなりのステータスや外見の女性が目の前に現れる。メッセージの往復に使う時間を、全部仕事や趣味に投資できるから、月額料金が高くても全然元が取れるんだよ」
なるほど、と深く納得した。 彼らにとって、お金よりも貴重なのは「時間(タイムパフォーマンス)」。バチェラーデートは、男性側が高額な月額料金(タクヤさんは月額約2万円のプランに入っていると言っていた)を支払うことで、出会うまでの「面倒なプロセス」をすべてAIにアウトソーシングしているのだ。
タクヤさんは経営者ということもあり、話の引き出しが非常に豊富だった。 最近行った海外旅行の話、起業した時の苦労話、今ハマっているサウナの話など、こちらが飽きないように常にユーモアを交えて話してくれる。それでいて、私の大学生活やサークルの話にも「それ、面白そうだね!」と真剣に耳を傾けてくれた。
気がつくと、店員さんがお会計の伝票を持ってきた。時計を見ると、きっちり1時間が経過していた。
「あ、もう1時間経っちゃいましたね。楽しすぎてあっという間でした」 私がそう言うと、タクヤさんはスマートに伝票を手に取った。 「本当だね。じゃあ、お会計は僕が済ませておくから、ミサトちゃんは外で待ってて」
バチェラーデートのルール上、デート代は「男性が全額支払うか、スマートに割り勘にする」ことになっているが、ハイスペック男性が集まるこのアプリでは、ほぼ100%男性が全額奢ってくれる。 私もお礼を伝えて、先に店の外に出た。
お店を出た後、銀座の駅前まで一緒に歩いた。 「今日は本当に楽しかったです。ありがとうございました!」 「こちらこそ。就活終わりの休み、楽しんでね。じゃあ、またね」
お互いに連絡先(LINE)を交換することなく、その場で爽やかに解散した。 (※バチェラーデートでは、その場で連絡先を交換してもいいし、交換しなくてもデート後にアプリ内で連絡を取り合うことができる仕組みになっている)
第5章:デート終了後の「残酷な評価」と、届いた『バチェラーレポート』
解散して電車に乗った直後、スマホにバチェラーデートのアプリから通知が届いた。 『デートお疲れ様でした。お相手の評価を入力してください。』
この評価入力こそが、バチェラーデートの最も特徴的な機能であり、私の2次審査の合否を決める運命のシステムだ。
評価項目は非常に具体的だった。
- お相手の容姿・雰囲気はどうでしたか?(星1〜5)
- 会話の楽しさやマナーはどうでしたか?(星1〜5)
- また会いたいと思いますか?(はい/いいえ)
私は迷わず、タクヤさんに対してすべての項目で「星5(満点)」をつけ、「また会いたい」にチェックを入れた。本当に非の打ち所がない素敵な男性だったからだ。
そして問題は、「タクヤさんが私にどんな評価を下したか」である。 もし彼が私に対して「容姿が写真と違う」「会話がつまらない」「マナーが悪い」と判断し、低い評価をつけたら、私は2次審査落ちとなり、正規会員になれず強制退会になってしまう。
ドキドキしながら結果を待った。 審査結果は、デートの翌日(日曜日)の夜に反映される仕組みだ。
翌日の21時。アプリを開くと、画面が一新されていた。
『2次審査に合格しました!あなたは本日より、バチェラーデートの正規会員です。』
「やった……!!」 思わず部屋で声を上げてしまった。合格したということは、タクヤさんが私を「バチェラーデートの会員として相応しいクオリティ」だと認めてくれたということだ。
さらに、合格通知と同時に、マイページに「バチェラーレポート」というページが生成されていた。 これは、デート相手からの評価をAIが分析し、自分の「恋愛戦闘力」を可視化してくれる機能だ。まだ1回しかデートをしていないのでデータは少ないが、そこには私の「成績表」がグラフになって表示されていた。
- 総合レート: 3.8(最高5.0)
- 評価の内訳:
- 振る舞い・マナー: 4.2(言葉遣いや態度が丁寧だった、とコメントあり)
- 容姿・雰囲気: 3.8(清潔感があり、服装のセンスが良い、とコメントあり)
- 会話: 3.5(少し緊張していたように見えたが、一生懸命話してくれた、とコメントあり)
「すごすぎる……。私の会話、緊張してるって見抜かれてたんだ……」 匿名のフィードバックなので、相手の本音が容赦なく書かれている。でも、だからこそ「次はもっとリラックスして、会話の評価を4.0以上に上げよう!」というモチベーションが湧いてくる。このレポート機能は、普通のアプリには絶対にない、自分の市場価値を客観的に知るための最強のツールだと確信した。
結び:バチェラーデートを初めて使ってみた女子大生のリアルな感想
こうして、私の「バチェラーデート」初体験は、最高の結果で幕を閉じた。 実際に使ってみて感じた、このアプリのメリット・デメリットをリアルにまとめると以下のようになる。
メリット
- タイパが神がかっている: メッセージの往復、お店選び、日程調整がすべて自動。忙しい人や、アプリのメッセージが面倒な人にはこれ以上ないシステム。
- 出会える男性の質が圧倒的に高い: 今回会ったタクヤさんのように、年収1500万超えの経営者や、普段の生活では絶対に出会えないようなハイエンドな層と確実に会える。
- 安全性が高い: 2段階の審査制であり、お互いにデート後に評価し合うため、変なヤリモク男や、モラハラ男、危険な人物が排除されやすい。
- 女性は完全無料: これだけのクオリティの出会いと、高級カフェでのデート代(奢り)を、女性は1円も払わずに体験できる。
デメリット
- 当日まで相手の顔がわからない: プロフィール文(スペック)しかわからないため、「どうしても顔の好みにこだわりたい!」という人にはギャンブル要素がある。
- 2次審査のプレッシャーがある: 最初のデートで相手に不快感を与えると、即不合格になる緊張感がある(ただし、普通のマナーを守っていれば基本は合格できる)。
- デートの場所を選べない: AIが自動でカフェを指定するため、「自分の家から少し遠いエリア」が指定されることもある。
総評として、バチェラーデートは「メッセージの無駄な時間を省き、最初からハイスペックな人と対面で会って判断したい」という女性にとって、間違いなく最強の選択肢だと言える。
正規会員になった私は、来週の土曜日もデートの予約を入れた。 次はどんなハイスペ男性が私の前に現れるのだろうか? そして、私の「バチェラーレポート」の数値はどう変化していくのか?
私のAI婚活ストーリーは、始まったばかりだ。
AIが全自動でデートをセッティング!忙しい人のための出会い【バチェラーデート】